赤かぶ漬けの歴史、赤かぶの種類、赤かぶ漬けレシピを紹介いたします。
【飛騨高山赤かぶ 飛騨紅蕪 霜おりる11月に赤さ鮮やかに、そして甘味みを増してゆきます】
晩秋に収穫、漬けこみ、
雪国の保存食として
9月初旬種まき→11月中旬収穫
飛騨高山の11月は、少し雪が降りはじめ、朝晩の気温が氷点下にもなるほど。雪国の長い冬をまえに、人々の日常も冬支度を慌ててはじめている季節になります。
冬の生鮮野菜が収穫できない土地柄だからこそ、冬の保存食として漬けられるのが【赤かぶ漬け】です。
収穫時の寒さは、赤かぶのもつ紅色色素をより一層濃く美しくさせます。あわせて寒暖の差が、ギュッと凝縮した甘味をもたせることになります。
夏の野菜とは違い、寒さのなかで生きた赤かぶは、組織がち密でしっとり滑らかさがあるのが特徴です。
飛騨赤かぶ 11月中旬収穫 →漬けこみ →寒さのなかで熟成 →樽出し【赤かぶ漬】
伝統野菜
【飛騨高山の赤かぶ】の歴史
飛騨の紅かぶ(正式名称:飛騨紅蕪)は、紫色の八賀かぶから分離してきた品種です。
この八賀カブは、室町時代に他の地方から伝来してきたそうです。当時、塩屋筑前守秋貞公という武将が飛騨北部一帯を支配し、上杉謙信に従い、北国と物資交流をなし、小八賀郷を開発し農耕を奨めた当時、上杉謙信が東北出羽国を一時統治していた事実から、温海カブ(山形県温海市)が移入されてきたのではないかとも言われています。
また、塩屋筑前守秋貞公が越中越前を侵攻していた事実から、加賀(金沢)や富山県内に古くから作られてきた折菜(くきたちな)が移入されてから自然交配が繰り返され、現在の赤かぶの形になってきたのではないかといわれています。
しかし、実際のところ本当の系統や歴史はわかっておらず、飛騨地方の気候風土で独特に改良されてきた味と形態は特徴があり、また、自家採種が基本であることから、農家独自の品種まで分離されていることが面白い特徴です。
【飛騨紅丸蕪】扁平な形で皮の下(中)は純白。コントラストが美しい。
葉も丸ごと漬けた「長漬け」は、野沢菜のような柔らかさと風味をもつ葉をまるごと漬け込む方法。葉のもつミネラルが蕪の旨みをより一層ひきたてます。
赤かぶは、飛騨高山だけの伝統野菜ではありません。日本各地で伝統固定種として人々の食文化のなかで守り育て続けられてきました。
各地域それぞれの気候風土があり、ひとことで赤かぶといっても、独自の特徴をもったオリジナル品種として継承されています。
おなじ岐阜県下でもいろいろな赤かぶがあります。
※二十日大根や、食用ビートとは
種類・特性が異なります。
いとしろかぶ(石徹白蕪)
岐阜県郡上市石徹白地域に古くから伝えられる蕪です。
白蕪ではなく、それは地名。ピンク色の赤かぶの系統です。蕪は大きくなり、葉も大きく、特に葉は、野沢菜のような柔らかさと風味があります。
その特徴を生かして、漬物には、葉を切り落とさず、全部を漬け込む方法が一般的です。蕪をつけるのには、昆布やかつおぶしなどのダシ風味は不要。蕪本来の甘みと風味は、塩だけでだすのが基本です。
開田かぶ
主に飛騨南部の開田村付近で古くから伝えられてきた赤かぶです。葉は比較的小さく、蕪の赤色が濃いのが特徴です。
中身は純白で綺麗です。小ぶりな赤かぶがそろって収穫できます。
ほかには、温海赤かぶ、大野紅、津軽紅、恵星紅(けいせいべに)などと地域名を冠にした紅蕪が全国各地で栽培されています。そのほとんどがお漬物として利用されています。
魅力的な飛騨赤かぶを家庭菜園でも栽培し、自家用お漬物を仕込んでみるのも面白く、楽しいです。
近年では品種【飛騨紅丸蕪】の種をを取扱い販売するお店もあり、全国的に認知度が高まり、栽培する方も増えているようです。
収穫の季節にあわせてお漬物として仕込むことが、後々の乳酸発酵には最適な気候温度条件となります。種まきから収穫、漬けこみと樽出しまで、すべての流れが、自然のリズムのなかで適合したときにはじめて美味しい赤かぶ漬けが食べられるようになります。ぜひチャレンジしてみてください。
※二十日大根や、食用ビートとは種類・特性が異なります。
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